進化はコメ作りだけではない。エネルギー自給を目指す生産者

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進化はコメ作りだけではない。エネルギー自給を目指す生産者

圧巻!いくつものソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が広がる田んぼ

たわわに実った稲の収穫直前の9月10日に、大地を守る・くらしからエネルギーを考える会(通称:大エネ)のメンバーが、福島県須賀川市の株式会社ジェイラップ伊藤俊彦会長に再生エネルギーの取り組みについてのお話を伺ってきました。

画像:ジェイラップ会長伊藤俊彦さん

放射能汚染を克服 活躍した大型機械

もともと稲の栽培方法やその乾燥方法、貯蔵方法にこだわりを持つジェイラップ。1993年には太陽熱乾燥とモミの状態で貯蔵できる設備を導入し、いつまでも新鮮に保存できる体制を整えました。ちょうどその年は大冷害によるコメの不作で各地でコメ不足になり、大地を守る会でもコメの供給に難儀する年でした。そこで登場したのが「備蓄米制度」です。政府に代わって自分たちでコメを備蓄する、事前に予約をとって翌年の出荷量を確保する仕組みです。この販売方法は現在大地を守る会で「米蔵熟成 稲田米(頒布会)」として継続しています。

このような先進的な取り組みを無に帰すような出来事が2011年3月11日東日本大震災後の原発事故が襲うのです。

広範囲に降り注いだ放射性物質は須賀川の稲田稲作研究会の田んぼにも舞い落ちてきました。

しかし、伊藤さんたちはひるむことなくセシウムの特性を冷静に調査研究し、田んぼ表土に沈降することを突き止め、思い切って田んぼの土壌を、表面15㎝と底15㎝を入れ替える作業(天地返し、反転耕)を行いました。その結果セシウムの線量は2013年時点で、炊いたご飯にして 0.2Bq/kg未満というレベルまで下がりました(大地を守る会検出限界値は3Bq/㎏)。

その時に活躍したのが写真の大型トラクターです。30㎝も深く耕運できるトラクターは日本にはないため、わざわざ海外のものを6台購入しました。運転席は塵や埃が入らないように気圧の調整がされている健康に配慮したつくりだそうです。

放射能の除去は米だけではなく、地域の空間線量も確実に下げました。先祖代々から続く営農を途切れさせない覚悟が見て取れます。

これからはエネルギーの自給に向けてスタート

米の栽培へのこだわりから、早期に実現した大胆な放射能の除去。そのどれもが目を見張る誰も追随できない唯一無二の姿ですが、現在はエネルギーの自給に着目し、太陽光発電を積極的に導入しており、先駆的に田んぼでのソーラーシェアリングを導入し現在に至っています。

食料の自給、エネルギーの自給。さらに、排熱の利用によるハウス栽培の計画、農業廃材の燃料化計画などを掲げ、将来的には廃棄物ゼロ、完全自給を目指しています。そして夢ではなく、着実にそれに向けて準備をされています。

写真(煙突が見える部分)はバイオマス発電時に発生する排熱を、ハウスの加温に利用するための引導する配管が埋まっている部分です。そして来年にはハウスを建てる計画です(この写真を撮っているところがハウス計画地)。バイオマス発電に利用する木材も本社裏にある林地を既に購入し、間伐材で賄う予定とか。ますます進化が止まらない、そんなジェイラップです。


伊藤さんの熱量をダイレクトに感じ取っていただける動画を是非ご覧ください。

▼「おひさまパワーをフル活用!更に進化する稲田米」(3分27秒)
太陽熱乾燥だけでなく、太陽光発電によるエネルギー自給で安定した米づくりを目指している伊藤俊彦さんへのインタビューと「空撮」のYoutube動画はコチラから
https://youtu.be/q5R-3DIhuho

ジェイラップについて

株式会社ジェイラップは稲田稲作研究会のお米を販売している販売元で、福島県須賀川市の生産者団体です。
大地を守る会とは30年以上のお付き合いになります。
1993年の冷夏で米の大不作をきっかけに、大地を守る会と「備蓄米」(※)(収穫前に米を予約購入するしくみ)をスタートし大反響を得ました。
2011年福島第一原発の事故直後から、放射能の自主測定による販売をいち早く行いました。また除染について自分たちで学び、独自の除染方法を開発しました。
震災後は原発の電気にNo!を掲げ、太陽光発電を積極的に導入しています。

田んぼでのソーラーシェアリングも地元で先駆的に導入し始めました。(2023年9月時点)

(※)現在は「米蔵熟成 稲田米(頒布会)」という看板商品になっています。ご注文いただく年の秋に収穫されるお米を収穫前に ご注文いただき、毎年11月末から翌年9月まで定期的にお届けする お米です。お届け頻度は12回コースと6回コースから選べます。食べて応援!を今後も継続していきます。
https://takuhai.daichi-m.co.jp/Goodsdetail/09114935
(次回取り扱いは2024年6月頃を予定しています)

大地を守る・くらしからエネルギーを考える会のメンバーと伊藤さん(ハウス建設予定地にて)

1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後に結成された大地を守る会内の専門委員会。
放射能と有機農業は相容れないを旗印に、生産者応援活動や勉強会、ネットワークを構築し、会員消費者や生産者に働きかけ、脱原発を有機農業の観点でとらえて活動してきました。現在は、原発に代わる電源として再生可能エネルギーの普及を目指し、脱原発社会の実現に向けた活動を行っています。

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