「手作り電気を楽しみながら暮らす フジイチカコさんのお話会~ベランダの太陽光発電と節電で電気代0円~」レポート

Activity Report

「手作り電気を楽しみながら暮らす フジイチカコさんのお話会~ベランダの太陽光発電と節電で電気代0円~」レポート

2011年の東日本大震災と原発事故での計画停電をきっかけに節電を始め、東京の自宅でソーラー発電を試し、ついに電力会社との契約を解約したフジイチカコさん。自宅では、ソーラーパネル、発電エアロバイク、ソーラークッカー、ソーラーライトなどを使用。災害時にも役立つ工夫や、季節を感じながらの創造的な暮らしと想いを伺いました。

太陽の熱だけで焼いたパウンドケーキ

「昨日は曇りだったのでどうかな。あ、大丈夫ですね」にこやかに笑って、ソーラークッカーから取り出すパウンドケーキ は太陽の熱だけで焼いたもの。

電気代0円生活のきっかけは3.11原発事故による計画停電

2011年の東日本大震災と原発事故での計画停電をきっかけに節電を始め、東京の自宅ベランダでソーラー発電をし、ついに電力会社との契約を解約したフジイチカコさん。自宅では、ソーラーパネル、発電エアロバイク、ソーラークッカー、ソーラーライトなどを使用した生活です。
もちろん電気代はゼロ円です。10月12日の日曜日、まだ秋の深まりには少し早い鎌倉は長谷の古い民家を活用したイベントスペースで(※注)、大地を守る会の消費者会員とそのご家族 10名を囲んで、災害時にも役立つ工夫や、季節を感じながらの創造的な暮らしと想いを伺いました。
ゼロ円生活を始めた初期の頃、夜はなんて漆黒で静寂な世界なんだろうと、夜が不安だったとも。試行錯誤の末にたどり着いた極意を、余すところなく参加者にノウハウを教えてくださいました。

※会場について:「みんなの稲村ヶ崎プロジェクトの家(オフグリッドの手作り小屋)」で開催予定でしたが、風雨が強く悪天候のため、急遽会場を変更しました。

ベランダの太陽光パネルで発電(ご自宅で撮影)

ご自宅(集合住宅にお住まい)で使用する電気は、ベランダの太陽光パネルで発電し、それを小さなバッテリーに蓄えます。容量が小さいのでおのずと節電に努めた生活になります。
4枚のソーラーパネルで合計発電量は380w、それを蓄電して使います。他に小さなポータブル発電機が240w。
(天気が悪くどうしても足りない時は、エアロバイクで人力発電する場合もあります)
節電生活のため、電化製品は極力置かず、エアコンや、一般家庭にあるような冷蔵庫はありません。

小さな電力を活用(小電力、直流いえ電)

どうしても必要な携帯電話やパソコン、また染色作家としての仕事に必要な洗濯機やアイロンなどに電気を使いますが、できるだけ使用電力が少ない(小電力)の物を短時間使います。

例えば、洗濯機は2槽式。脱水だけの時は
手回し式の『サラダスピナー』で代用することもあります。

エアコン無し。どうしても暑い時だけ消費電力が極めて少ない『直流』の扇風機だけを使用。

冷蔵庫も基本は不使用。
冷蔵庫無しで工夫して食材を保管し、野菜は家庭菜園で自給を目指しています。
ただし、今年のような猛暑の時はソーラー発電で動く小型の冷蔵庫を短時間使用したり、クーラーボックスを使い氷を買いに行く回数も増えたそうです。

ミニ太陽光発電グッズの説明をするフジイチカコさん

フジイさんのような太陽光発電の設備が無くても、初心者でもすぐに始められるミニ太陽光発電グッズをご紹介いただきました。

手にしているのは携帯用のソーラーパネルとバッテリー。
携帯電話の充電ならこれで簡単にできて電気代の節約になります。もちろん災害時にも活用できます。

ほかにも、ソーラー充電式の乾電池、ソーラーパネルと一体化したバッテリーで使える電気スタンドなどもご紹介いただきました。

節電、省エネには窓の断熱がポイント

窓を断熱するだけで冷暖房費の節約ができ、使用する電力量も減らせます。
たとえば、冬場はキルトのカーテンを取り付けた『なんちゃって2重窓』や、アルミのレジャーシートを窓に立てかけるだけでも節電省エネになるとのことです。
夏場はベランダの温度上昇を防ぐために、ベランダ全体に水をかけたり(打ち水)、アルミの窓枠に水をかけ気化熱で温度を下げたり、あるいはウッドデッキ、ゴーヤなどでグリーンカーテンを作る、などが効果的とか。
また、シーツやタオルを脱水せずに干したり、水を入れて穴をあけた袋をつるして水をぽたぽた流すだけでも効果があるそうです(フジイさんはこれを『ポタリン』と呼んでいます)。
フジイさんは、色々な工夫ができる身近な節電省エネアイデアをたくさんお持ちです!

手作り容器でソーラークッキング

太陽光を反射板で集めて黒い容器で光を熱にかえて加熱調理ができる『ソーラークッキング』も推奨されています。

食材を黒い容器に入れ、100円ショップでも売っているような銀シートや家にあるステンレスのボウルなどで集めた光を当てると、黒い容器が太陽光で加熱され、晴れている場合は80℃以上など高温になり加熱調理ができる、熱が逃げないように透明な容器で覆うのがポイント。
「薄切り肉や魚の切り身などは火が通りやすく、野菜や殻付き卵は、やや時間がかかります。」とのこと。

電気代ゼロ円生活は楽しいから続けられる

冒頭のパウンドケーキも 、この手作りソーラークッカーで前日に作ってお持ちいただきました。ふっくらと膨らんだケーキができていました!

「ソーラークッカーは黒く塗ったアルミホイルなどでも使え、災害時にも役立ちます。おにぎりを温めるだけでも、ほっとしますよね。」

フジイさん、ソーラークッキングにはまってしまい、全国イベントにも参加されるまでになったそうです。

「電気代ゼロ円生活は、やってみるとどんどんアイデアが浮かんできて今に至ります。楽しいから続けられているんですよね」
ストイックで無く、楽しんで続けておられることがお話される時の表情からも分かります。

『ノー・ライフライン・デー』のすすめ

お話の最後に、誰でもすぐにできることとして『ノー・ライフライン・デー』として30分でも2時間でも、半日でも、電気、水道、ガスを使わないで過ごしてみることをお勧めされました。

「自分がどれくらいの電気や水を使用しているか、環境に負荷をかけているか、自分で知ることが大切。
また、自分で発電してみると、その労力に本来電気は安いものでは無いということがわかり、大切に使おうという気持ちになります。」

「これまでは一人暮らしだから0円ができているが、今後ライフスタイルが変化したり、また、これ以上猛暑が続くと、0円は難しくなるかもしれない」

「それでも自分で作った【平和なエネルギー】をできるだけ使い続けたい。
最低必要な電気を自分で作り、ソーラークッカーで料理ができるという自信があると、異常気象になってもどこにいても大丈夫、とポジティブになれる。」

優しい笑顔の中に強い意志を感じさせる言葉で話を締めくくられました。

参加者の感想より

節電について学べた、様々な工夫に納得した、いろいろ情報を得られて良かった、できるだけ自然の力で生活できればいいと思っていたので勉強になったなど、テーマや内容について、また、少人数で話しやすい雰囲気で良かった、フジイチカコさんのお人柄がステキだったと、と好評のお声をたくさんいただきました。

小さいところから自分でもできるかも、との嬉しいお声もありました。

今回の企画は、生活の中でエネルギーや環境について考えられる身近ななテーマだったためか、応募者も多く、またこれまであまり大地を守る会のイベントに参加したことの無い方にも興味を持ってもらえたようです。

今後も身近な生活から出発してエネルギーや環境の問題を考えることができるイベントを企画していきたいと思います。

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