事業等のリスク

以下において、当社グループの事業、経営の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成30年6月28日)において当社グループが判断したものであります。

(1)ビジネスモデルのリスク

当社グループのビジネスモデルは、環境・健康志向のお客様が増加する中で、有機栽培・特別栽培等による青果や安全性を吟味した加工食品など、お客様が食品スーパーや量販店などの一般的な流通経路では入手しにくい商品を、ECを活用した利便性の高いサービスを通じて、より手軽により多くのお客様に提供することを核としております。お客様の環境・健康志向は今後も拡大し、ECによる食品販売はこれからも十分に伸張していくと推測しておりますが、技術の進歩や流通の革新などにより、一般的な流通経路で安全性や付加価値の高い商品がより安価で販売可能となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)事業内容に関するリスク

これまでの生産農家や産地との緊密な関係に基づく良質な商品の発掘や目利きに加え、調達した商品に対する加工・製造機能を強化することで、よりオリジナリティや付加価値の高い商品の開発を推進してまいります。

1.食品のEC市場や宅配事業における競争について

現在のところ、当社グループは食品に特化した宅配事業者として大手の位置にあると認識しておりますが、小規模な事業者まで含めるとECによる食品販売を行う事業者は多数存在します。また多数の会員を有するショッピング・モール型のEC事業者による食品販売への取り組み強化や、既存流通大手等の有力企業においていわゆるネットスーパーを本格的に展開する動きが見られます。ミールキット等、時短サービスニーズの急増を背景とした食材及び食品宅配利用の普及に伴い、この動きはさらに加速するものと予測しており、今後、かかる事業者による食品販売への一層の注力等により、EC市場の食品分野における競合が激化する可能性があります。
このような環境下において競争が激化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

2.食品の安全性について

各ブランドが提供する付加価値やターゲット層により細かな基準は異なるものの、当社グループいずれの主要ブランドにおいても、独自の取り扱い基準を設定し、青果物は可能な限り農薬や化学肥料を使わず栽培した作物を、加工品は食品添加物を極力使用しない製品を取り扱っております。また、青果物については産地視察や残留農薬の検査を実施し、加工品等については外部の有識者や第三者機関等を活用した独自の検査体制を設け、さらには仕入先メーカーの衛生管理指導を行うなど、客観的かつ合理的な品質・安全性の確保に努めております。また東日本大震災に伴う原子力発電所事故に端を発した食品の放射能汚染問題については、いち早く取り扱い商品に関する放射性物質の検査を開始し、その後も放射性物質に関する基準値の変更や検査機器の導入・検査体制の整備を行うなど、お客様により安心して購入していただくための環境整備に努めております。

しかしながら、当社グループの取り扱い商品について、生産者による農薬使用等に関する表示の偽装や品質に関する虚偽の情報提供などが行われる可能性は否定できません。また食品の放射能汚染問題については、その安全性に関する社会通念上の見解が未だ明確でないことに加え、今後当該問題に関する何らかの法規制が設けられた場合、当該法規制が求める対応等が即時に実施できない可能性があります。
かかる事象が発生した場合、行政機関からの指摘又は処分並びにお客様からのクレーム又は損害賠償等が生じる可能性があり、当社グループのブランドイメージの失墜や対外的信用力の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

3.天候悪化による影響について

当社グループの売上高の約3割を占めている青果物については、取引産地を日本全国各地に分散するとともに、主要品目については原則として複数産地から調達可能な状況とすることにより、特定地域の天候悪化による収穫不能・品質劣化時も別産地から商品の供給ができる体制をとっております。しかしながら、予想以上に天候悪化が長期化・広域化した場合、欠品や品質劣化等の問題の発生などにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

4.季節変動について

当社グループは、12月におせち料理等の収益性の高い年末商品により売上高・利益が増加する傾向にあるため、通期の業績に占める第3四半期の比重が高くなっております。このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であり、また第3四半期の業績如何によっては年度の経営成績が影響を受ける可能性があります。

5.物流業務拠点の集中について

当社では、自社運営による物流センターを構え、取り扱い商品の検品・保管・仕分・梱包といった物流関連業務を集約しており、主にOisixブランドは神奈川県海老名市、大地を守る会ブランドは千葉県習志野市の物流センターを通してお客様向けに出荷しております。これら物流センターが自然災害又は火事などにより操業できなくなった場合、在庫の損失や配送遅延、サービス一時停止などといった事態の発生により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

6.ヤマト運輸株式会社との取引関係について

当社グループのお客様への商品配送は、その大半をヤマト運輸株式会社によっております。当社グループとしては同社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、代替的な配送業者との関係構築にも努めておりますが、昨今の物流業界の状況に鑑み、同社グループからの大幅な配送料の値上げ要請や取引関係の縮小などがあった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

7.会員数について

当社グループの主たるサービスのうち、Oisixブランドの定期宅配サービスにおける会員数は平成28年3月末で111,036人、平成29年3月末で137,359人、平成30年3月末で169,664人と大きく成長しており、また、大地を守る会ブランドの定期宅配サービスにおける会員数は平成30年3月末で44,993人となっております。
これら定期会員数の増減は、当社グループの売上高に大きな影響があることから、当社グループでは新規会員の獲得活動に注力するほか、顧客満足度の向上を通じた退会の抑制にも努めております。
しかしながら、定期会員数の拡大に関する施策が計画どおり進捗しなかった場合あるいは顧客満足度の低下に伴い退会者数が増加するなどした場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

8.システム障害について

当社グループの食品宅配事業の業務は、Webサイトの管理を始め、受注、発注、仕入、在庫、発送、売上までのほとんどの業務が業務管理システムに依存しております。これらのシステムでは、それぞれ予備系統や予備データの保有機能等の二重化措置やファイヤウォール、ウィルスチェック等、外部からの攻撃を回避するための対策を講じております。しかしながら、想定を超えたアクセスの急激な増加や、コンピュータウィルスの侵入、人為的な破壊行為、又は構築したアプリケーション内の不具合等、様々な要因によって当社グループのシステムに障害又は問題が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

9.個人情報の取り扱いについて

当社グループは、EC等による商品の販売に際してお客様の氏名、住所等の申し出を受け、多くの個人情報を保有するため、平成17年4月に施行され、平成29年5月に改正された「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)に規定する個人情報取扱事業者に該当します。このため、当社グループは、個人情報にかかる取り組みとして、データの暗号化、厳格なアクセスコントロール、並びに外部機関から定期的にシステム診断を受けること等に努めているほか、情報管理規程・マニュアルを制定し、プログラム作成者の教育訓練及び全社員を対象とした社内教育を徹底しております。
しかしながら当該施策に関わらず、当社グループのお客様などの個人情報が社外に漏洩した場合には、損害賠償や社会的な信用失墜等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

10.技術革新への対応について

当社グループが事業を展開しているインターネット関連の業界は、新たな技術革新やサービスが次々と登場することが特徴となっており、当社グループでは、それらの技術革新等に伴うサービスモデルの変更や新機能等を当社事業に活用するため、積極的な対応に努めております。しかしながら、技術革新等への対応が遅れた場合や、システム等に関連する投資額や費用が予想外に増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

11.法的規制等について

当社グループでは、特別栽培農産物等の食品販売を行うにあたり、「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」等、EC販売を行うにあたり、「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」、「著作権法」及び「特定商取引に関する法律(特商法)」等の法令による規制を受けております。
当社グループでは、これらの法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、コンプライアンス体制の整備に努めております。しかしながら、これらの法令等に抵触した場合、当社グループのブランドイメージが損なわれることによるお客様からの信頼度の低下が、会員数や購入頻度の減少等を通じて当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があるほか、これらの法令等の改正又は新たな法令等の制定により法的規制が強化された場合には、当社グループの主要な事業活動に支障を来たす可能性があります。

(3)事業体制に関するリスク

1.代表者への依存について

当社グループの設立の中心人物であり、事業の推進者である代表取締役社長髙島宏平は、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社グループの依存度は高くなっております。
当社グループにおいては、同氏に過度に依存しない経営体制を構築すべく、他の取締役や従業員への権限委譲等を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

2.人材の確保や育成について

人材の確保や育成について当社グループでは、急激な事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、内部での人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。
また、特に物流センターでの出荷関連業務やお客様からの問い合わせ等に対応するカスタマーサービス業務については労働集約的な側面があり、恒常的に多数の従業員を効率的に配置する必要があることから、当社グループとしてはその採用と教育に努めております。
しかしながら、当社グループの属する市場が今後拡大し、競争が激化すれば、競合他社との人材獲得競争も激化し、当社グループの人材が外部に流出することや、人材確保に支障を来たすことも想定されます。また、今後急激な受注高の増加などに伴い業務量が急増した場合、出荷関連業務やカスタマーサービス業務の人員不足により効率が低下するなどの事態が発生することも想定されます。このような事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

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