海のフードロス削減 SDGs丼ができるまで

Oisixでは、いま私たちにできる地球環境のための取り組みを進めながら、次世代とともにアクションを起こす取り組み、「Oisix×次世代 “これからの食”学び場プロジェクト」を行っています。

昨年のアップサイクル商品共同開発のプロジェクト(詳しくはこちら)に引き続き、青稜中学校(東京都・品川区)のSDGsゼミナールで特別授業を開講しました。

*青稜中学校のSDGSゼミナールは、2年生と3年生が合同で参加する選択ゼミナール授業で50名の生徒が受講。数あるゼミの中でも様々な企業とSDGsアクションを模索するゼミとして人気がある。

今回はその一連の取り組みをご紹介します!

どんな取り組み?

今年のテーマは「海のフードロス削減」!

全2回の特別授業で海のフードロスについて学ぶだけではなく、まだ食べられるのに通常は廃棄されてしまう食材、”穴あきわかめ”と”白えびの殻”を使ったオリジナルメニューの考案、メニューコンテストの実施、優勝メニューの商品化、またその商品を学校と当社の所在する品川区主催のイベントや品川区役所にて実際に販売、という一連の取り組みを行いました!

今回使用した海のフードロス食材はこの2つ。

■年々廃棄量が増えている三陸の穴あきわかめ

国産の85%を占めている三陸のわかめは、肉厚でプリッとした食感、シャキッとした噛みごたえで知られていますが近年、茎わかめに近い部分に小さな穴があいたり、ボコボコと水ぶくれのように膨れてしまうわかめの比率が増えています。

そういったわかめは見た目だけが理由で正規流通ができず、三陸全体で切り落とされ廃棄されている量は、全体の約5割(水揚げ時換算で年間100トン余り)にも及びます。また、本来の黒色ではなく赤みの強い「赤昆布」の割合も増えているため、穴が開いたわかめや色味の違うわかめを選別する漁師の手間は増えているのに、販売できる商品量は減ってしまっているという現状があるのです。

■富山湾の白えびの殻

もう一つの使用食材は富山湾の白えびの「殻」!白えびは、年間漁獲量が少なく、その姿が太陽光の反射下で白く輝くことから、「富山湾の宝石」ともいわれ、高級で贅沢なものとされており、小さなえびで身が柔らかいのが特徴のため、手作業で殻を剥くことで更に価格もあがる高級えびです。

しかし、むき身の加工中に発生する頭や殻は商品価値がない物とみなされ、廃棄されてフードロスになっていました。

そんな美味しくてもったいないフードロス食材をじっくり煮込み、煮汁ごと丁寧にすりつぶしたスープベースを作り、中学生にメニューを考案してもらいました。

第1回目の授業では、クイズ等を交えながらフードロスやその解決策のひとつ、通常は廃棄される食材に新たな価値を生み出す「アップサイクル」について理解を深めました。

特別ゲストに、宮城県石巻のわかめ・こんぶ漁師の阿部勝太さん、富山県の白えび加工製造会社の日合洋司さんをお迎えし、生産現場で起きている海のフードロス課題を学び、おすすめの活用方法なども伺いました!

初めてのメニュー考案に、学生たちも最初は苦戦していましたが、学生らしい自由でユニークな発想で、様々なアイデアが生まれました。

第2回の授業では、第1回授業でグループで考えたメニューの仕上げ、そして、メニューコンテストを実施しました。特別ゲストには、品川区御殿山にお店を構えるミシュラン三つ星レストラン「カンテサンス」のオーナーシェフ 岸田周三さんを迎え、メニュー考案の際のコツやポイントを直々にお聞きし、学生たちも新たな気づきを得て、メニューアイデアの仕上げを行いました。

また、今回共催で取り組みを行った品川区の環境課の職員様からも品川区のフードロスに対する取り組みについて学び、コンテスト優勝メニューが実際に販売されるイベントや場所についての発表がありました。

どんな商品ができあがったの?

10グループに分かれて行われた”穴あきわかめ”と”白えびの殻”を題材にしたメニュー考案。全10のメニューはどれも中学生らしく、スナック菓子を活用するものや、1つのメニューで何通りもの食べ方が出来るものなど、ユニークなアイデアが盛り込まれたものばかりでした。

コンテスト、投票の結果、優勝に選ばれたのは...

・穴あきわかめ部門「肉巻きWAKAMEのスタミナ丼」
・白えびの殻部門「とまらない!えび出汁リゾット」

の2つ!

それぞれ、穴あきわかめを豚肉で巻くことで見た目が気にならないような工夫や、小さい子供から大人まで楽しめるような味付けイメージにしたり、使用する食材の相性や食感を考える、など工夫を凝らしていました。

いざ販売!イベントや区役所の様子

学生のアイデアをもとに実際に商品化したSDGs丼2種は、10/22(日)に開催した品川区主催のイベント「サステナブルイベントinとごし」と、10/23(月)~25(水)の3日間、品川区役所にて計4日間の販売を行いました!

イベントでは用意した200食が1時間半で完売!3日間の区役所での販売も連日販売開始後5分ほどで完売する人気ぶりを見せました。

販売に参加した中学生も、直接お客様からの「美味しかった!」との嬉しいコメントや応援のお言葉をいただき、メニュー考案から販売までの一連の経験への達成感を感じられたようでした。

また、区役所での販売初日には、SDGs丼2種を品川区の森沢きょうこ区長にもご試食いただき、お弁当販売の応援にも駆けつけてくださりました。

実際にご試食いただいた区長様からも、どちらもヘルシーで食べやすく、是非今後も販売してほしい、という嬉しいお言葉に加えて、食品ロス削減に向けた取り組みは行政だけで啓発をしてもなかなか進まない、こうして学生やOisixのような民間企業と一緒に取り組んでいくことがとても大切である、というメッセージに加え、今回のような取り組みを家族や友人等周りの人に広めていくことの大切さについて、また、区長様個人としても品川区としても、今後もこうした色々な取り組みを通じて広げていきたいという有難いお言葉をいただきました!

今回、「海のフードロス削減」をテーマに取り組んだ「Oisix × 次世代 “これからの食”学び場プロジェクト」。

一見、「海のフードロス」と聞くと、なかなか馴染みのない難しい問題に聞こえますが、今回こうして学生のユニークなアイデアを多くの方々に楽しみながら、フードロスの削減に貢献していただくことができ、非常に有意義な取り組みとなりました。

Oisixはこれからも次世代といっしょに明るい食の未来に向かって、次世代の考えるアイデアやアクションが社会に大きな変化をもたらすことを願って、活動してまいります!

次の取り組みにも乞うご期待ください!